SNS広告に新たなルールが?首都圏不動産公取協が重点課題を発表!

query_builder 2025/06/27
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不動産業界における「広告のあり方」が、今、あらためて見直されようとしています。


2025年6月20日、公益社団法人・首都圏不動産公正取引協議会(以下、公取協)は、東京都千代田区のホテルメトロポリタンエドモントで定時社員総会を開催しました。


2024年度の活動報告や収支決算の承認が行われたほか、2025年度に取り組む重点課題も明らかになりました。


注目すべきは、SNSを活用した不動産広告に関する調査が新たに始まるという点です。 現代の集客手法として欠かせなくなったInstagramやX(旧Twitter)、YouTubeなどを使った広告について、表示ルールの順守状況を調べ、今後のガイドライン整備につなげていく方針が示されました。


2024年度の実績概要

主催研修会:3回開催し、加盟事業者や賛助会員からの参加者は合計950人。


講師派遣研修:計66回、延べ7,134人の受講者を記録。

相談件数:延べ9,636件(前年比+177件)うち表示規約関連は8,072件(+131件)、 景品規約関連は537件(−36件)。


調査件数:規約違反疑い対象502物件(−179件)、うち"おとり物件"として認定されたのは146件(+23件)で、割合は29.1%と前年より11ポイント増。

措置・処理:違反認定された案件は141件(−45件)で処分または注意に。

22件は問題なし、4件は他地区協議会へ情報提供 。

「おとり物件」は減少傾向にあるものの、依然高い水準が続いている点は、お客様の信頼確保のため引き続き対策が必要な結果となりました。


SNS広告に潜むリスクと制度的な背景

ここで、SNS広告が抱える課題と、それに対する制度上の対応をご紹介します。


・ 誇大表現の問題

SNSでは、動画や静止画、キャプションなど多様な形式で広告が展開されますが、実務者からは次のような注意喚起があります 「YouTube動画で『リビングは広々、日当たり抜群』と述べただけで誇大表現とされる場合もある。SNS投稿は半永久的に証拠が残るので要注意」


  ・表示義務の応用

SNS投稿であっても、「物件概要」や「徒歩●分」といった必要情報は概要欄やコメント欄に記すことで法的には問題なしとされており、実際に公取委の担当者もこの運用が認められているとしています。

ただし、スマホで読めないほど文字が小さい、あるいは口頭だけの説明といった不明瞭な情報提供は、表示義務違反として指摘される可能性があります 。


・ステルスマーケティング規制の強化

2023年10月に「ステルスマーケ」と称される隠れた広告活動が法的に規制され、2024年6月には消費者庁が初の措置命令を発出しました。


これは、企業が金銭等と引き換えに好意的な投稿をさせる行為に対するものです 。


SNSを活用する際には、「広告である」ことが明示されているかは重大なポイントです。


【関連法律と遵守すべき規約】

SNSの不動産広告には複数の法令や業界規約が重層的に適用されます。



| 法令・規約 |

| 景表法(景品表示法)→誤認表示・誇大広告の禁止

  | 宅地建物取引業法 →徒歩分数、取引態様などの明示義務、未完成物件広告の制限

  | 不動産表示規約→ 面積・価格・設備などの詳細記載、誇大表現禁止 

| ステルスマーケ規制 →隠れ広告行為への対応強化  これらのルールはすべて、「紙の広告と同様にSNS投稿でも厳格に適用される」と明言されています。


SNS広告での実務対応と最新市場動向

・表示体制構築の重要性

中小不動産事業者では、社員の個人アカウントで物件紹介が行われるケースも珍しくありませんが、誰が投稿しても会社の広告として扱われるため、社内ガイドラインとチェック体制の整備が不可欠です。


・プライバシー法との関係

SNS広告におけるデータ利用や配信ターゲティングを行う場合、個人情報保護法の適用も意識しなければなりません。2022年以降、同法の改正が進んでおり、広告のためのデータ収集・活用時には利用目的の明示・同意取得・越境移転制限などが求められます 。


・デジタル広告市場の急成長

2025年、日本の広告市場はデジタル分野が中心となり、約561億ドルの規模に達する見込みです。その一方で、72%の日本人がオンライン上での個人情報利用に懸念を抱いているとの調査もあり、慎重な配慮が必要とされています 。


SNS時代の不動産広告——信頼構築のための実務指針

首都圏不動産公取協が掲げた「SNS広告の表示規約順守調査」 は、業界全体に対する強いメッセージです。

SNSを活用しながらも、以下のポイントは厳守が求められます


1. 必要情報の明示:価格、面積、物件状況、徒歩分数などは概要欄やコメント欄に記載する。


2. 誇大表現の自制:「広々」「抜群」などは避け、具体的根拠を示す。


3. 広告である旨の明示:#PR、#広告などの必須。


4. 社内の二重チェック体制:誰が投稿しても会社責任であることを共有。


5. データ活用時の法令遵守:APPI対応、プライバシーポリシーの整備。 SNS時代において不動産業者が継続的な信頼を築くには、「速さ」だけでなく「正確さ」「透明性」「法令順守」が不可欠だと思います。新たな調査結果を機に、各社のSNS広告運用の見直し・体制強化が今まさに求められています。


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